窓の外　～前編～

結核がまだ死に至る病だった頃、ある病室に死の宣告を受けた７名の患者が入っていた。ジミー・カーチスはその一番窓際のベッドだった。その部屋の患者は皆自分で動くことができず、ジミーだけがかろうじて窓の外を見ることが出来た。死と隣り合わせの同室の患者はみんな心がすさんでいた。
その同室の患者たちを前にして、ジミーは窓から見える光景をみんなに語り伝えた。
「おーい、みんな、子供たちが遠足だよ。黄色いカバンをさげている子がいるな。いやぁ、ピンクの帽子をかぶっている子もいるよ。みんなかわいいな。３番目と４番目の子が手をつないで歩いている。きっと仲良しなんだろうな。あ、空には黄色い蝶々が飛んでいるよ。」
いつもみんなはジミーの話を楽しみにしています。
ところが、ある日朝起きてみると窓際に寝ていたはずのジミーがいません。昨晩亡くなったのです。
つづく・・・